森を二度続けて襲った「黒い風の獣」は、 川の土手を食い破り、森の道を引き裂き、 通信の木々をなぎ倒して去っていった。
ビーバーの工事隊も、モグラの道守りも、 泥にまみれながら必死に森を繕っていたが、 みんな疲れ果てて、もう立つのもやっとだった。
そのとき、気象塔のフクロウが叫んだ。
「黒い風の獣が、もう一匹こっちへ向かっている!」
森の仲間たちは震えた。
「まだ前の傷が塞がっていないのに…… どうしてこんなに続けて来るの?」
🐈 光る舞台へ向かう“真っ白だと思い込むペルシャ猫”
森の首長ネコ・タカイチは、 背中に模様があるのに「私は真っ白なペルシャ猫よ」と信じているネコ である。
彼女は優雅に尾を揺らしながら、 遠い森の“光る舞台”へと出かけていった。
「見てちょうだい。私の美しさで、他の森も仲間になったわよ。 これが森のリーダーの外交力なの」
そう言いながら、 背中の模様を見せないように、いつも光の当たり方を気にしていた。
その頃、森の地面では、 川が決壊し、道が崩れ、仲間たちが泥に沈んでいた。
🐈⬛ 危険な荒れ地で“勇姿”を見せたがる灰色ネコ
少し後、森の外の危険な荒れ地に、 灰色のネコが堂々と足を踏み入れた。
彼は胸を張って叫んだ。
「俺は危険な森に来たぞ!すごいだろう!」
その周囲には、 黒装束の 忍者ネコ と 鋭い目をした SP猫 が何重にも張り巡らされていた。
灰色ネコは、 その護衛の輪を見せつけるように歩きながら言った。
「これが俺の覚悟だ。 森の仲間たちよ、俺の勇姿を見てくれ!」
しかし、森の仲間たちは泥の中でつぶやいた。
「危険な森に行くことより、 こっちの崩れた川を見てほしいのに……」
🦔 橙色の服を着たハリネズミ軍団の盲点
森には最近、 橙色の服を着たハリネズミたちの大きな群れができていた。
彼らは広場で針をピンと立てながら叫んだ。
「森を救うのは私たちだ!」 「食べ物の安全を守れ!」 「外から来た動物を規制しろ!」
仲間たちは拍手した。 橙色の服は目立ち、叫びは派手で、耳に心地よかった。
しかし、モグラの道守りが静かに言った。
「崩れた川の土手のことは……誰も話さないの?」
フクロウ博士も首をかしげた。
「古い水道の木管をどう取り替えるか、 危険な山の斜面をどう再編するか、 そういう話は、橙色のハリネズミたちからは聞こえてこないね」
リスのお母さんはため息をついた。
「地面の話は、票にならないから…… 誰も見たがらないのかしら」
ハリネズミ軍団は、 森の仲間の感情を揺さぶる派手なテーマには熱を注ぐのに、 泥水の中で崩れゆく森の地面には目を向けなかった。
🐾 森の問い
黒い風の獣は、また近づいていた。
森の仲間たちは泥の中で思った。
「光る舞台で笑う首長も、 危険な森で勇姿を見せる灰色ネコも、 橙色の服で叫ぶハリネズミ軍団も、 みんな“森の地面”を見ていない」
「票にならないから語らない」 「地味だから予算をつけない」
そのツケを払うのは、 いつも泥まみれの仲間たちだった。
森の風は冷たく吹いた。
「世界を語る前に、 まず足元の地面を固めてほしい」
仲間たちは静かにそう願った。
🟧 寓話の解説(政治構造の比喩)
この寓話は、 台風災害の連鎖、インフラ崩壊、 政治の外向きパフォーマンス、 新興勢力の人気取り構造 をモチーフにしている。
寓話の対応関係はこうなる:
- 黒い風の獣=連鎖する台風・気候危機
- 川の土手・道の崩壊=インフラの老朽化
- ビーバー・モグラ=自治体職員・土木業者
- 光る舞台=外遊・国際アピール
- 真っ白だと思い込むペルシャ猫=外向きの美しさを優先する政治
- 灰色ネコ+忍者ネコ+SP猫=危険地帯訪問を成果と誤認する政治
- 橙色ハリネズミ軍団=人気取りテーマに偏る新興勢力
- 地面=生活基盤・インフラ
- 「票にならないから語らない」=政治の怠慢
この寓話の元記事はこちら



コメント