ヤンキーネコに喧嘩を売り、上納金を払い続けた森の外交寓話
「日の丸組」
と呼ばれる小さな組があった。
昔は腕の良い職人ネコや商人ネコが集まり、それなりに豊かな縄張りを持っていた。
だが長い年月のあいだに、組は少しずつ変わってしまった。
今の組長ネコが信じているのは、自分たちの力ではなく、森を支配する巨大な組の親分ネコだった。
🐈⬛ ヤンキーネコには強気な組長ネコ
日の丸組の組長ネコは、近所のヤンキーネコたちを見るたびに言った。
「うちを誰だと思ってるにゃ!」
「なめるんじゃないにゃ!」
「いざとなったら戦うにゃ!」
集会場では大歓声が上がる。
保守ネコたちは拍手する。
「さすが組長にゃ!」
「頼もしいにゃ!」
だが職人ネコたちは首を傾げた。
本当に戦う準備があるようには見えなかったからだ。
🐾 本当に恐れている相手は誰なのか
組長ネコが本当に気を遣っている相手は、近所のヤンキーネコではなかった。
ずっと遠くの大陸で巨大な縄張りを持つ、
親分ネコ
だった。
親分ネコが現れるたびに、組長ネコの態度は一変する。
「親分、お疲れ様ですにゃ」
「今回もよろしくお願いしますにゃ」
「こちらで用心棒代はご用意しておりますにゃ」
次々と契約書に肉球印が押されていった。
🐈 武器を買い続ける子分組
親分ネコは言った。
「もっと武器を買え」
「もっと守りを固めろ」
「自分の縄張りくらい自分で守れるようになれ」
組長ネコは深々と頭を下げた。
「へい、親分」
そして武器を買った。
さらに武器を買った。
もっと買った。
請求書だけが雪だるま式に増えていった。
🐾 上納金を払うのは誰なのか
もちろん組長ネコではない。
永田丘の幹部ネコでもない。
支払ったのは森で働くネコたちだった。
🏭 職人ネコ
汗まみれで鉄を削る。
🌾 農家ネコ
泥だらけで作物を育てる。
🚚 運送ネコ
雨の日も荷物を運ぶ。
🛒 パートネコ
店を支える。
彼らの木の実袋から少しずつ木の実が抜き取られていった。
🐈⬛ 「自立しろ」と言われる不思議
だが不思議なことが起きた。
親分ネコはこうも言うのである。
「いつまでも俺を頼るな」
「もっと自立しろ」
「自分の足で立て」
組長ネコはまた頭を下げた。
「へい、親分」
ところが翌日になると、
さらに高額な武器を注文し、
さらに新しい契約に署名する。
森ネコたちは不思議に思った。
「自立しろと言われているのに」
「前より親分に依存してないかにゃ?」
🐾 失われていくもの
そんなことを続けるうちに、
近所のヤンキーネコたちとの会話は消えた。
商売も減った。
材料の仕入れも難しくなった。
職人ネコたちは頭を抱えた。
それでも組長ネコは言う。
「強い組を作るためだにゃ」
しかし森ネコには見えていた。
強くなったのは組ではない。
親分への依存だけだった。
🐈 最後に届いた請求書
近所には喧嘩を売る。
親分には上納する。
武器代は増える。
木の実は減る。
そして最後に請求書を支払うのは、
いつも森ネコだった。
職人ネコが言った。
「強い言葉を使えば強い組になるわけじゃないにゃ」
農家ネコが言った。
「親分に守ってもらうだけなら自立じゃないにゃ」
運送ネコも頷いた。
🐾 本当に必要だったもの
森ネコたちはようやく気づいた。
この組に必要だったのは、
ヤンキーネコへの威勢でもなく、
親分ネコへのご機嫌取りでもなかった。
必要だったのは、
自分の足で立つ覚悟だった。
🐈⬛ 森ネコの結論
森ネコたちは静かに言った。
「親分の威を借りるだけでは強くなれないにゃ」
「上納金を払い続けるだけでは豊かになれないにゃ」
「本当の強さは、自分の足で立つことにゃ」
そして森には、しばらく重い沈黙だけが流れていた。
元ネタ記事



コメント