ある日。
森を管理する温度ネコたちは、 大きな集会を開いた。
そして誇らしげに発表した。
「ついに達成したにゃ!」
「森の温度が2度上がったにゃ!」
会場では拍手が起きた。
支配ネコたちは笑顔だった。
ニュース鳥も嬉しそうに叫んだ。
「歴史的な成功にゃ!」
「13年越しの悲願達成にゃ!」
🐈⬛ 森ネコたちは首をかしげた
だが森で暮らすネコたちは困惑した。
かごの木の実は減っていた。
食卓に並ぶ魚は小さくなった。
冬の暖房用の薪は高くなった。
光る石(電気)も高くなった。
油ネコから買う燃料も高くなった。
森ネコは思った。
「温度が上がって豊かになるはずじゃなかったのかにゃ?」
🐾 13年前の約束
13年前。
温度ネコたちはこう約束した。
「森の温度が少し上がれば」
「仕事が増えるにゃ」
「木の実が増えるにゃ」
「生活が豊かになるにゃ」
森ネコたちは信じた。
だから協力した。
だが13年後。
実際に増えたのは、
生活の豊かさではなく、
値札だった。
🐈 森を暖めたのではなかった
よく見ると、
森の温度が上がった理由は別だった。
温度ネコたちは、 森の壁を壊してしまったのである。
外から冷たい風が吹き込み、
森の木の実の価値が下がった。
すると外の魚も、
外の麦も、
外の油も、
全部高くなった。
森が豊かになったから温度が上がったのではない。
森が弱ったから温度が上がったのだった。
🐾 給料より速く増えるもの
さらに奇妙なことが起きた。
働くネコの給料が少し増えると、
支配ネコたちが飛んできた。
「税の木の実をもらうにゃ」
「保険の木の実をもらうにゃ」
給料が増えた以上の勢いで、
木の実が抜き取られていく。
森ネコは困惑した。
「頑張って働いたのに」
「前より木の実が少ないにゃ」
🐈⬛ 成功したことにしたい支配ネコたち
それでも温度ネコたちは言った。
「計画通りだにゃ」
「目標は達成されたにゃ」
「大成功にゃ」
森ネコたちは驚いた。
森のあちこちで空腹の声が聞こえる。
見切り品を探すネコが増えた。
木の実のかごは軽くなった。
それなのに支配ネコたちは、
紙の数字だけを見て祝杯をあげていた。
🐾 放火しておいて喜ぶネコたち
森の長老ネコが静かに言った。
「支配ネコたちは勘違いしているにゃ」
「森を豊かにして温度が上がったのではないにゃ」
「森を燃やしたから温度が上がっただけにゃ」
町は焼けている。
森ネコは苦しんでいる。
それなのに、
支配ネコたちは叫ぶ。
「ほら見ろにゃ!」
「予定通り2度上がったにゃ!」
🐈 最後に森ネコが見たもの
森ネコたちはようやく気づいた。
支配ネコたちが守っていたのは、
森ではなかった。
自分たちの面子だった。
失敗を認めたくないだけだった。
だから、
空腹の森ネコよりも、
紙の数字を優先した。
🐾 森ネコの結論
森ネコたちは静かに言った。
「温度が上がったことじゃないにゃ」
「私たちのかごの木の実が増えたかどうかが大事なんだにゃ」
「数字より暮らしにゃ」
そして森ネコたちは、
支配ネコが掲げる「成功」という看板を、
冷たい目で見つめていた。
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